親知らずの抜歯
- 親知らずがまっすぐに生えており上下の親知らずと噛み合っている
- 虫歯や歯周病の症状がなく、周囲の歯に悪影響を及ぼしていない
- 歯茎が覆いかぶさるなどのトラブルがなく、歯磨きがしっかりと出来ている
口の中の状況を見て、抜くか抜かないかを判断します
当院では親知らずの抜歯も行っていますが、親知らずはすべて抜かないといけないわけではありません。
真っ直ぐ上に向かって生えていて、むし歯になっておらず、手前の歯も問題なさそうであれば、抜かずに様子を見ることが多いです。
親知らずを残しておくことで、入れ歯やブリッジの治療を行う際にその親知らずを活用できる可能性もあります。
痛みがある場合などお困りのときはお早めに、また症状がなくても親知らずを抜いた方がいいかそうでないか気になる方は、当院にご相談ください。
抜かなくても良い親知らず
下記の条件を満たす親知らずであれば、無理に抜歯する必要はないでしょう。
状態のいい親知らずは、ほかの奥歯が悪くなって抜かなければならない場合に、その部分へ移植(自家歯牙移植)することができる可能性もありますので大切にケアしながら、将来のリスクのために温存しておくことをおススメします。
抜いたほうが良い親知らず
親知らずが口腔内や周辺の歯に悪影響を及ぼしている状態であれば、できるだけ早めに抜いたほうが賢明です。
また、将来的に悪影響を及ぼすことが予想される場合でも、若いうちに抜いておいた方が良いでしょう。
あごの骨は20代後半から徐々に硬くなっていきますが、骨が硬くなると抜歯に時間がかかってしまうため、若い人と比較して術後の腫れや痛みが強くなる傾向があります。
また、年を取ると免疫力が落ちて術後の回復が遅くなりますし、女性の場合ですと、妊娠出産時期には女性ホルモンの関係で歯周病リスクが高まるため、親知らずが炎症を起こして苦労するケースも多々あります。
妊娠中の親知らずの抜歯や、高齢になって体力・免疫力が低くなってからの抜歯はなるべく避けたいですので、下記のような場合は早めの抜歯をおススメします。
親知らずが斜めや横向きに生えている場合
親知らずがまっすぐ生えておらず、斜めや横向きになっている場合、汚れが溜まりやすく虫歯や歯周病のリスクが高い状態になっていると言えます。
身体が健康で免疫力が高く、しっかりと口腔ケアができているときは症状が抑えられますが、体の免疫力が落ちたり、妊娠出産などで歯周病リスクが高まる時期にトラブルを起こしてしまうケースが多々あります。
また、親知らずが隣の歯を押すことで、歯並びが悪くなったり歯が弱くなったりしてしまう可能性もありますので、将来的にトラブルが予想される親知らずの場合は早めに抜いておくことをおススメします。
親知らず自体が、虫歯や歯周病になっている場合
親知らずがむし歯や歯周病になっている場合、まわりの健康な歯にも影響が及ぼんでしまう可能性がありますので、抜歯した方が良いでしょう。
ですが、親知らずがまっすぐに生えていて上下の歯とかみ合っており、かつ、むし歯や歯周病の症状が軽度の状態であれば、治療したうえで残すという判断をする場合もあります。
歯茎が上に覆いかぶさっている場合
歯茎が覆いかぶさっている親知らずの場合、歯茎と親知らずの間に汚れがたまりやすく、「智歯周囲炎」を起こしてしまうリスクが高いです。
智歯周囲炎とは、親知らずの周囲に起こる炎症のことで、重症化すると他の人が見てわかるくらいに顔が腫れたり、発熱・倦怠感といった全身症状が起こる場合もあります。
軽度の症状であれば、患部を清潔に保つことで解消されることがほとんどですが、何度も炎症や痛みを繰り返す場合は将来的なリスクを考慮して、早めの抜歯をおススメします。
噛みあわせがあっていない場合
親知らずが上下どちらかのみに生えていて噛み合う歯のない状態になっている場合、頬や他の歯茎を噛みやすくなり、腫れや痛みの原因となってしまいます。
また親知らずの異常な生え方によって歯並びや噛み合わせが悪くなると、顎の関節に負担がかかり、顎が痛い、口が開けにくくなるなどといった顎関節症の症状があらわれる事もあります。
矯正治療を考えている場合
矯正治療を受けている方の場合、親知らずが残っていると治療後に生えてきた親知らずによって奥から前に向かって力がかかってしまうため、後戻りを起こしやすくなります。
また、既に親知らずが生えている方で矯正治療を検討されている場合でも、親知らずがあることで奥に歯が動かないために抜歯をすることもあります。
矯正治療は長期計画が大切ですので、担当の歯科医師とよく話し合い、抜歯の判断や時期を決めましょう。
隠れたリスクも洗い出す、CTによる精密分析
親知らずの抜歯はしっかりと事前の診査診断を行わなければ血管や神経を傷つけてしまい、多量の出血や麻痺が生じる場合もあります。
特に下顎の親知らずの場合、根の先が下顎の骨の中にある下歯槽管の近くにあることが多いのですが、この下歯槽神経が傷つけられると、下唇や下顎の皮膚、口腔内粘膜や歯茎が知覚障害を起こし、会話や食事が上手にできなくなってしまうこともあります。
レントゲン写真では、親知らずの歯がどのように顎の骨に埋まっているのか、神経が親知らずと接触しているかどうかの確認が正確に行えないため、CT撮影をして親知らずの埋まり方や歯根の形、神経や血管との距離など正確に診断する必要があります。
また歯茎に埋まっている親知らずや横向きに生えている親知らずも、根の先と下顎管が近接しているケースが多いため、抜歯の際にはCT撮影による事前の綿密な診査診断がとても重要です。
当院では、必要に応じでCT撮影による診査診断をさせていただいております。